コラム
脅迫行動・依存行動(とらわれ)
ある行動を辞めたいのに、辞めなくてはいけないのはわかっているのに辞められない。
例えば、何十分も手を洗い続ける。
例えば、社会的に禁じられた行動をしてしまう。
傍目には、「悪いのが分かっているなら辞められないのだろうか」と思われるかもしれませんが、なかなか簡単にやめられるものではありません。なぜかというと、その強迫行動をすることによって、本人にメリットがあるからです。
人間は結構シンプルで、ある行動を維持・継続するには「メリット」がないと不可能です。
この強迫行動・依存行動についていうと、それを行うことで一時的に不安が解消できるので、それを繰り返してしまうのです。とはいえ、根本的な問題は解決していないのですから、当然また不安を抱くきっかけがあると、自動的に不安が発生し(自動思考)、その結果同じ強迫・依存行動が繰り返されることになります。つまり、
不安のきっかけ⇒不安⇒強迫・依存行動⇒開放(ほっとすること)⇒(また不安のきっかけに戻る)
これの繰り返しです。
このループを断ち切るには、極端な状況は薬物も検討する可能性もありますが、基本的には認知行動療法です。
「不安のきっかけ」に接したときに、自動的に浮かんでしまう否定的な考え(自動思考)を修正していくというものです。
例えば、
「学校に行ったので、汚いものに触ってしまったかもしれない」⇒「汚れて大変なことになってしまう、死んでしまうかもしれないという不安」⇒「過剰な手洗い」⇒「ほっとする」
様々なアプローチがありますが、基本的には「いま、ここ」でクライアントが感じている不安をより詳細に具体的にクライアントに理解してもらい、その認知(大変なことになってしまう)が客観的に正しい認知なのかというのをクライアントに理解してもらうという行動を、カウンセラーとクライアントとともに検証していきます。その際、段階的に進めるのが一般的です。
これにより、様々なストレス下で歪んでしまっていた認知が修正されることで、行動も修正されることが期待できます。また行動そのものにも、働きかけを行います。
進め方や取り組み方は、おはなしを伺いながら、個別に組み立てていきます。
このような認知や行動の歪みは、なかなか一人で治るものではありません。ぜひ、御相談ください。